田舎の価値

田舎生まれの私は、いつも都会に憧れていた。
いつもテレビで見る、都会のキラキラした感じといつも日本の最先端が詰まっていてすべてが揃っていることに憧れを抱いていた。
しかし周りからは、都会は空気が汚いとか、田舎の人には合わないとか、あまり良くない噂ばかりを聞いていたので、自分が都会へ行くと言うことは想像したことがなかった。
何より、知らない土地に行くことが怖かった。
しかし20数年間生まれ育った田舎で生活し、そのまったりとした環境に慣れ過ぎていたので、少し物足りなさとつまらなさを感じ、少し刺激が欲しいと始めているときだった。
その時働いていた会社から、転勤の話がきたのだ。
転勤先は都会のど真ん中。
転勤があることは薄々耳にはしていたが、まさか自分が・・・と言う驚きでいっぱいだった。
私は心配と不安でいっぱいだったが、興味と期待も大きかったので、その話を受けることにした。
しかし不安はたくさんある。
都会の人は優しいのだろうか。
みんなつんけんとして私が田舎者だと、すぐばれてしまうのではないか。
田舎者だと馬鹿にされないだろうか。
そして何より、都会の生活に慣れるのだろうか・・・
いろんな不安が頭を巡る。
しかしそんな不安も一気に解消されるのであった。
気づけばみんな田舎者だったのだ。
みんな同じように田舎から転勤して来た人ばかりで、いろんな県の人達が集まっていた。
一概には言えないが、都会はそんなところなのかもしれない。
みんな同じ気持ちで来ている。
そして徐々に都会の生活に馴染んで行くのだ。
生粋の都会生まれの人もそれはいるだろうが、やはり同じ人間。
それを感じ、とてもほっとした。
あれから10年以上経ち、そんなことを思っていたことも忘れるくらい、今は普通に都会で暮らしている。
今は少し田舎が懐かしく、恋しい。
いつも人で溢れる町で暮らしていると、田舎に憧れを抱くようにもなってきた。
これこそ無いものねだりなのだろう。
都会の人は・・・と私も思われないようにしよう。